NPO法人筋無力症患者会は、重症筋無力症の患者やその家族の励ましと親睦・交流を進めます。

筋無力症の症状

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症 状

 筋力低下、「疲れやすい」という易疲労性を認めることがこの疾患の特徴です。

病気のタイプには、眼筋型(全体の20%)と全身型(80%)があります。

眼筋型は、まぶたがさがる(眼瞼下垂),ものが二重に見える(複視)、眼が上下左右に十分に動かない(眼球運動障害)、 眼が閉じられない(兎眼)、左右の焦点が合わない(斜視)など眼の症状のみを認めます。

一方、全身型は、手足や飲み込む力など全身の筋力低下と疲労感が特徴で、躯幹に近い部位に症状が出現します。さまざまな症状が全身に広がり、手足の筋肉の力が弱くなります。両手を挙げることが困難、立ち上がりが困難など四肢の症状、さらに、頭・首を持ち上げることができなくなるなど、日常生活に支障をきたします。

症状があらわれる身体の部位、症状の程度には個人差があります。
注意を必要とする症状は、ものが飲み込みにくい(嚥下障害)、しゃべりにくい(構音障害)、呼吸が苦しいなどの症状が出現し、急激に進行し「クリーゼ」という状態に陥る場合は、最も重篤です。

症状は、日内変動(夕方に増悪)、週・月の単位で症状が変化する場合もあり、過度の疲労、ストレス、風邪などの感染症、薬剤、転居などの環境変化、女性であれば生理で症状が悪化することもあります。
また、病気が発症した時点では、眼筋型であっても、その後に全身型に移行する場合があります。

 

日 内 変 動 ・ 日 差 変 動

日 内 変 動 (にちないへんどう)

重症筋無力症は易疲労性が特徴の疾患です。

身体の疲れ具合と疲労の蓄積状態によって、「同じ日でも朝夕でまるで違う」「昨日と今日では症状の重軽度が違う」といったことが起こり、長期(週、月単位、季節)で症状が変化する場合もあります。

過度の疲労、ストレス、風邪などの感染症、薬剤、転居などの環境変化、女性であれば生理で症状が悪化する場合があります。

 

日 差 変 動 (にっさへんどう)

症状が日によって変わり、症状が軽い日もあれば重い日もあるというように症状が変動、繰り返します。
日によって体調の悪さが様変わりしてしまうため、昔から筋無力症は「なまけ病」、「気力が足りない」などと言われてきました。
周りの人にきちんと理解して貰い、余計な誤解を生まないためにも、病気の特性によって病状が変化するということを、周りの人に伝える事も大切です。

 

目 の 症 状

目には眼球を動かす筋肉が6本あります。これが麻痺して斜視、複視など様々な症状が起こります。
目と他の身体の筋肉との違いですが、外眼筋では、筋線維の1本1本に対して神経線維が1本ずつ対応しています。
目は神経線維の数も多く、その神経筋接合部のこの信号をやり取りする場所の数も多いので、最終的にこのアセチルコリン受容体の数が他の身体の筋肉に比べるとものすごく多くなります。
通常の全身の骨格筋に比べると、125倍の数の神経線維があります。筋無力症で、目に症状が出やすいのは、この様に確率の問題だということです。

 

眼 瞼 下 垂 (がんけんかすい)  

眼を開けようと力を入れても眼が十分に開くことができない、瞼(まぶた)が下がって開かない状態を「眼瞼下垂」と言います。
視界が悪くなることから目を凝らして物を見るようになる為、目つきが悪くなる、常に顎を上げて物を見るなど物の見方が変わってきます。
また、瞼が開かないために、「いつも眠たそうにしている」と誤解されやすいです。

瞼は、「上眼瞼挙筋」という瞼を持ち上げる筋肉と、「眼輪筋」という瞼を閉じる筋肉で開閉がおこなわれます。
眼瞼下垂は、この二つの筋力が弱まることによって起こります。

目の動きは、眼球を動かす筋肉の6本で眼球は動いています。それぞれの筋肉に固有の働きと動きがあるため、バランスや、力の入り具合によって眼球の動きが変わり、「複視」、「斜視」などの眼球運動障害が起こります。

  • 複視・・・目に映るものが二重に見える。
  • 斜視・・・左右の焦点が合わない

良くある症状
  • シャンプーが目にしみる・・・瞼を十分に閉じることができないために起こります。
  • 眩しい・・・眼球を調節する筋肉が上手く機能しないために起こります。
 

全 身 の 症 状 

 四 肢 の 筋 力 低 下

 重症筋無力症の四肢の筋肉は、通常より疲れやすくなっており、筋力が低下してしまいます。こうした症状は、筋肉を繰り返し使う(反復動作)、筋肉を持続して使う(持続運動)で、筋力低下が顕著に現れ、 症状やその強さなどは人により様々です。筋肉を繰り返し使うことにより、筋力低下が顕著に現れます。これは 動作に対して筋肉の疲れからくるもので、基本的に筋肉を休ませれば一時的に解消されますが、再び筋肉を使うと再発します。発症の初期では、増悪と寛解を繰り返します。

 筋力低下の起こる部分は、自分の意思で動かすことのできる筋肉(随意筋)のみで、心臓や内臓などの平滑筋の力が障害されることはありません。 疲れを感じたら、なるべく早めに休息をとることが肝心です。 よくある症状として、腕が動かしづらくなり、物を上手く掴むことができない、持った物を落とす、字を書くことに疲れる、 シャンプーや歯磨きをする間に手を上げていられない、足がだるい、階段を休み休みでないと登れない、思うように歩くことができない、歩く速度が遅くなり、ペンギンが歩くような歩き方になる、 頭が持ち上がらない、支えている事がつらい、などの症状があります。

 

嚥 下 障 害 ・ 構 音 障 害 (えんげしょうがい・こうおんしょうがい)

 喉の筋肉や口の周りの筋肉が疲労する事により、「構音障害」「嚥下障害」などの球麻痺症状が現れる場合があります。 これを球麻痺型(球症状)と言います。
(球とは、延髄球のことで、脳の最下部にあり、脊髄の上に続く部分。太く膨れているので球とも言い、口や舌などの運動を司る神経が集まっています。)

 
「構音障害」(こうおんしょうがい)
 舌の動きが悪くなるためにしゃべる事やろれつが回らなくなる。息が鼻腔に抜けるため鼻声になるなど思うように発音する事ができなくなります。
 
「嚥下障害」(えんげしょうがい)
 食べ物や飲み物を上手に飲み込めなかったり、気管支と食道の間の開閉が鈍くなる事から、飲み込む時にむせたりします。誤嚥による肺炎など重篤な状態を引き起こし可能性もあるので注意が必要です。また、噛む力が衰えるために、固い食べ物を噛むことができない。海苔など引きちぎる事ができないなど噛みにくく嚥下行為が難しくなることもあります。

良くある症状
  • しゃべりにくい、鼻声になる
  • 固い食べ物が噛めない、飲み込みにくい
  • むせる
  • つばがあふれる。よだれがこぼれる。
  • 表情がうまく作れない。
 

呼 吸 苦 (呼 吸 困 難) ・ 呼 吸 筋 麻 痺

 呼吸筋(呼吸をするときに胸郭の拡大、収縮を行う筋肉のこと。 種類としては、横隔膜、内肋間筋、外肋間筋、胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋など)が疲労する事により、呼吸困難(呼吸苦)、呼吸筋麻痺を起こすことがあります。呼吸筋が麻痺してしまうと、息苦しさを訴え、酷い時には呼吸不全に陥ってしまうこともあるので、注意が必要です。呼吸困難、呼吸筋麻痺は、軽度、重度に限らず個人差はありますが、呼吸苦を症状として訴える人は少なくありません。体内に取り入れられる酸素量(血中酸素濃度)を目安とします。

良くある症状
  • 常に胸の上に何かがのしかかっている感じがする。
  • 座って寝ている方が、呼吸が楽になる。
  • 体に密着している下着を着られなくなった。
  • 無意識に深呼吸をしている。
 

ク リ ー ゼ

 まれに筋脱力が急激に悪化し、呼吸筋麻痺をきたして人工呼吸器による管理が必要になることがあります。この状態をクリーゼ(急性増悪)と呼びます。 クリーゼは、重症筋無力症で特に注意しなければなりません。クリーゼが起こる前に、できるだけ早く医師にかかる必要があります。 クリーゼには病気自体が増悪した時におこる「筋無力性クリーゼ」と、治療に用いられる抗コリンエステラーゼ剤の過剰服用でおこる「コリン作動性クリーゼ」があります。「メスチノン」や「マイテラーゼ」などの抗コリンエステラーゼ剤の服薬は、医師の指示に従い用量を守りましょう。

クリーゼ: 感染や過労、ストレスなどが誘引となり、引き起こされることが多く、急激に全身の筋肉が麻痺し、特に呼吸筋麻痺のため呼吸困難に陥ることです。特に呼吸筋麻痺のため人工呼吸器による呼吸管理が必要となる場合が多いです。日ごろから睡眠をよくとり、無理のない規則的な生活を心がけて、予防に努めましょう。落ち着いて対処をすれば十分に間に合うので、患者さんとその家族の方は、日ごろから気道確保などの対処法を学んでおきましょう。

 
 監修 : 埼玉医大総合医療センター 神経内科教授 野村恭一先生
 


TEL 042-683-0189

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